ドイツの留学を終えて2019年の9月からロシア連邦ブリヤート共和国、ウランウデという街にある
ブリヤート国立歌劇場(Buryat states opera and ballet theater)という歌劇場で夫婦で音楽家として働いています。
ヴュルツブルク音大を卒業しドイツ生活が終わりました - しべりあげきじょう
日本で
「ロシアのオーケストラに就職が決まりました!」
「おめでとう!ロシアのどこ?モスクワ?」
「ブリヤート共和国のウランウデという街です!」
「どこ!?!?」
という会話を何度もしたのでブリヤートについて説明したいと思います。
目次
ブリヤート共和国はシベリアのモンゴルの近くの街
ブリヤート共和国はモンゴルの真北にある、アジア最大の湖であるバイカル湖に面している国です。ロシア連邦の中の一つ。
面積は35万平方キロメートルと日本と同じくらいの面積です。
面積は日本と同じですが人口は100分の1以下で100万人ほど。
ちなみにこのバイカル湖は世界最古の湖の一つと言われ九州と同じくらいの面積だそうです
ウランウデはバイカル湖のほとりにある街で人口は43万人くらいなので大体品川区と同じくらいです。地元なら横須賀市くらい
街は大きすぎないので地下鉄に乗る必要もないくらいですが、都市ではあるのでなんでも揃っていて暮らしてやすいかなというところです。
ブリヤートは元々はモンゴル帝国
元々はモンゴル系のブリヤート人が住んでいたところで、政治的にはチンギス・ハーンの支配下におかれモンゴル帝国に属していました。
まだ行ったことはありませんが「チンギス・ハーンが演説をした丘」とかもあるそうです。
ということでずっと遊牧民の土地だったわけですが、毛皮と金を求めてロシアがバイカル湖を超えて進行し17世紀にロシアに併合されました。
しかしこの間に戦争はなく武力での侵略ではなかったのだそうです。
劇場にもロシア人とブリヤート人が握手している銅像が飾られています。
またロシアはあくまでも侵略というよりは併合といった形で、現地民を皆殺しにしたり言語を奪ったりということはしませんでした。
ブリヤートでもいまだにブリヤート語が残っています。
ロシア人とブリヤート人
ロシア人はあくまでも平和的な併合だったということなのか、白人に特権階級を与えてブリヤート人を奴隷にするということもなくあくまでも平等といった様子です。
もちろんみんなロシア語を話しますが、ブリヤート語もいまだに話されており、ブリヤート人はコンサートなどの正装には民族衣装を着てきたりと文化を破壊することもなかったようです。
印象としてはロシア人とブリヤート人の間には基本的に隔たりもなく平等といった感じです。
ただ、やはりロシア人はロシア人と、ブリヤート人はブリヤート人と一緒にいる感じはします。単純に見た目とかルーツが似ている人とつるむのは普通なのかもしれません。
あまりロシア人とブリヤート人のカップルは多くないかなーとは思いました。
ブリヤートの宗教
ブリヤートにもロシア正教の教会もありますが、チベット仏教のお寺も多数あります。
ロシア正教は27%で仏教が20%と言われていて、そのあたりも割と親近感が持てます。
ロシア人の同僚も仏教だと言っていました。
ロシア語ではダッツァンといわれるお寺。
無宗教という人も多いそうですが、バイカル湖のことを神聖な神の湖と思っているような自然信仰の気持ちが強い人も多いようです。そういうところも日本人と少し似た感じがします。
ウランウデはいつも快晴
ウランウデは世界有数の晴天率らしく、本当によく晴れます。ドイツは冬になると本当にずっと曇っていて日照時間が短く憂鬱になりましたが、2,3月もよく晴れました。雪が降ったのは1日だけというくらい。
9月も基本的には天気が良くて、紅葉もきれいです。
冬は一度降った雪がずっと溶けないので常に凍っています。
あとは野犬がすごくたくさんいます。みんな穏やかな顔をしているので怖くはありませんが狼サイズなのでやはり少し警戒…
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シベリアは夏は暑く冬は超寒い
みなさんのイメージ通り冬はむちゃくちゃ寒くなり
マイナス30度くらいまで下がります。
鼻毛もまつげも凍るし、深呼吸したら肺が凍るのではないかというくらいにキンキン。
ただ日が出ているのと、あまり風がないので思っていたほどのつらさではありませんでした。もちろん20分外を歩き続けたらやばいですが…。
ちなみに観測史上最低気温はマイナス50度らしいですw
「シベリアって夏も寒いの?」
といったこともよく聞かれますが
9月の下旬でも22度くらいいきますし真夏には30度近くいくこともあるのだそうです。
観測史上最大は40度なので実に差が90度もあります。笑
とても厳しい環境。
夏は30度になっても湿度が低いので大したことはないと思います。多分ですが…
でもロシアの冬は想像よりは全然辛くありませんでした。
初雪は10月上旬…。
シベリアの冬より日本の冬の方が寒い理由
ロシアに住んでいた人が日本に帰るとみんな
日本の方が寒い
といいます。
日本は室内があたたかくないから
ロシアは暖房が発達していて、秋から春まで常につけっぱなしです。
ドイツでいうとハイツングというやつで、温水で部屋を暖める仕組み。
これは本当に暖かくなりますし、窓も二重で鉄筋なので室内が寒くなることはありません。
外にいる時間はすごく寒くても、屋内が20度近くあるので身体が芯まで冷えてしまうことがないんです。
部屋ではTシャツで十分です。セーターだと汗ばんでしまします。
冷凍庫のバイトもちゃんと防寒具をきて長時間でなければできるのと同じような感じ。
サウナも短い時間なら大丈夫的な。笑
ロシアに売っているものもドイツと大差がない
シベリアのスーパーにはいったいどんなものが売っているんだろうと思っていましたが、思ったよりドイツとは変わりませんでした。
イタリアのパスタが置いてあって、ミルカのチョコがあって、フランスのワインがあって。
ドイツにないといえばイクラの缶詰とかでしょうか。
日本のものも日本語のままうってます。特に洗剤はいろんなところにあります。
アジアマーケットに行かなくても醤油もコチュジャンもなんでもあります。これとかロシア語0ww
しかもドイツと違いお米もいろんな種類があって、日本米に近いものも普通にうってます。あと小豆とかもあります。
あと土地柄か肉がとても安くてすごくおいしいです。牛肉のヒレも1キロ150円くらい。
ブリヤートは水がいい
ドイツはすごく硬水で、シャワーを浴びてまとわりついた感じとか髪がガサガサになって嫌でした。
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しかしブリヤートはバイカル湖のおかげで水がとてもきれいな軟水なので、むしろ日本より快適かも。
飲み水も安くて、5Lで50円くらいです。
ブリヤート郷土料理のブーザがおいしい
餃子の起源と言われている郷土料理の、「ブーザ」がとてもおいしいです。
街にはたくさんのブーザ屋さんがあり、一つ50円くらいで気軽に食べられます。醤油をつけて食べる日本人には馴染みやすい味です。
僕が働いているブリヤート歌劇場について
僕たち夫婦が働いているの国立歌劇場は1939年創立で、街の中心にありシンボルです。
ロシアの伝統的なスタイルの建築。
この劇場は戦後抑留された日本人の方々が建設されたらしく、とても胸が痛みます。
「ここはどんな災害があってもこの建物だけは絶対壊れない」とブリヤート人は言っているそうです。
そんな劇場で僕が音楽家として働くというのもなんだか縁を感じますね。
オーケストラとオペラとバレエが全てあるこの規模の劇場はシベリアでは数少ないそうです。
オーケストラの人数は60人ほど、公演は子どもむけの小さなものも含めると月に10~15回ほどあります。
それでも毎回満席近くなるのですから、やはり文化なんだなと思います。
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この劇場で上演する演目は基本的にはメジャーなもので、オペラなら椿姫やリゴレット、蝶々夫人やトスカ、フィガロの結婚やさまよえるオランダ人、アイーダなどがあります。
もちろんオネーギンやソロチンスカヤノ市場、ボリスゴドゥノフなどのロシア作品もやります。
バレエもくるみ割り人形や海賊、白鳥の湖などの有名な作品以外にも全幕でやることは珍しいタリスマンなどもやります。ブリヤートの神話をもとにした創作作品”麗しのアンガラ”という作品や、1001夜物語なども。
出勤自体は毎日で月曜休みですが、リハーサルや本番が毎日あるというわけではなくかなり余裕があります。本番の日はゲネプロはなく本番のみ。
リハーサルは11-14時と18-20時という枠があり、両方あることもあれば片方だけの時もあります。
劇場はずっと空いていて好きなだけ練習できるので、本当に恵まれた環境です。
自由な時間がとても多いのでこうしてブログもたくさん書けるわけです!
ドイツのことは書いている人も多いうえに6年もいて自分の中で新鮮な出来事がなくなっていたのであまり執筆欲がでませんでしたが、今はすべてが新しくてロシアは基本的に突っ込みどころが満載なので自然と書きたくなります。
妻の料理記事の連載もしています!
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