バロック(ナチュラル)トランペットとは
バロックトランペットとは現在のようなバルブが発明される以前に(発明されてからもしばらくの間)演奏されていたトランペットで
管の長さは現代のものの2倍、何もついていない唇だけで全てを演奏する楽器です(と言うと語弊がありますが)
このトランペットは自然倍音しか出すことができないので、音階を吹くには高音域を出すしかありません。
というわけでピッコロトランペットで吹く音域を、4倍の長さの楽器でバルブ無しで吹いていたんですね。
というわけで訓練すれば誰でもそこそこ演奏できた楽器ではなく
Clarinnoと呼ばれたこの音域を演奏できた奏者はごくわずかだったと言われています。
そのため特別に高い給料が払われたり、そもそも勉強できるのが貴族だけだったり。
そんなトランペットは、高音域のメロディー楽器としてバロック期に栄華を極めました。
神々しく華やかな音色、音量もでるので花形でした。
バロックトランペットでブランデンブルク協奏曲2番 - あうすどいちゅらんと
この頃には王族などの来客や、とにかく重要な人物のための音楽にトランペットが用いられました。
それもファンファーレ的なものだけでなく、トランペット1本とその他の楽器という形も。
そして20世紀になり、Edward TarrやFriedemann Immerといった人々が再びこの楽器の良さを世の中に広めました。
おすすめの著名なバロックトランペット奏者を紹介していきたいと思います。
Friedemann Immer フリーデマン・イマー
Bach: Brandenburg Concerto No. 2 in F major, BWV 1047 (Freiburger Barockorchester)
1948年生まれ。ドイツのバロックトランペット界のパイオニア的な人で、3つ穴トランペットの開発やレパートリーの再発見など大きな影響を残しています。
どんなに高い音でもいとも簡単に出してしまうすごいプレイヤー。
友達がマスタークラスに行ったとき
「おれの音出しはこれだ!」といって
D管でハイDを5回くらい吹いて
「これで十分」
みたいな感じだったそうな。笑
僕の先生の先生でもあります。
CD↓
Trompetenkonzerte des italienischen Barock
Jean-François Madeuf ジャン・フランソワ・マドゥーフ
バッハコレギウムジャパンのメンバーとして日本でもおなじみになってきたマドゥーフは穴の空いていない本当の”ナチュラル”トランペットを演奏している数少ない奏者です。
多分穴無しのトランペットでブランデンブルク第2番を吹けるのは世界でも彼だけだと思います。
穴が無いと何が難しいかと言いますと、自然倍音ででる音程のずれた音を口だけで直さなければならないところです。
ファの音は1/4音ほど高くなり、ラの音は1/4音ほど低くなり
それを音を出す瞬間に変えるという神業です。全ての音が隣り合っているので、低めにファを吹こうとしたらミが出てしまうのです!!
しかし当時は穴が無いトランペットで演奏されていた(と言われている)ということで、それを極めているんですね…。
CD↓
レッスンうけました!
Hannes Rux ハンネス・ルックス
僕がヴュルツブルク音大で習っているHannes Rux教授は、ドイツで一番演奏しているのではないかというほどあちこちで演奏しています。
初めてレッスンで演奏を聴いた時は衝撃的でした。
こんなにいい音とこんな豊かな音楽があるかと…。
たまたまこんなすごい先生に副科で習えて本当に幸運です。
テレマンのソナタ
G.PH. TELEMANN: Trumpet Sonata in D major TWV 44:1, La Stagione Frankfurt
CD
Trumpet Concerto in D Major, TWV 51:D7: I. Adagio
Susan Williams スーザン・ウィリアムス
ブレーメン芸術大学、王立デン・ハーグ音大の教授のオーストラリア人です。
Susan Williams "Anche virtu e belleza" Martinez de la Roca classic baroque trumpet
女性らしくとても軽くきれいに演奏されます。
人柄もフレンドリーで素晴らしい先生。
Patrick Henrichs パトリック・ヘンリヒス
J.S. Bach - Cantata BWV 90 Es reisset euch ein schrecklich Ende | 3 Aria (J. S. Bach Foundation)
トロッシンゲン音大の教授で、バッハカンタータなどの録音があります。
レッスンを受けたことがありますがとても分かりやすくて人間的にもパワフルです。
Niklas Eklund ニクラス・エクルンド
スウェーデン出身の最も有名なソリスト言っても過言ではないスター。
ボー・ニルソン、ピエール・ティボーにモダントランペットを師事し、バーゼル交響楽団首席に就任。
同時にバーゼル・スコラ・カントゥルムでエドワード・タールに師事し、1996年にアルテンブルク国際バロック・トランペット・コンクールで優勝。
それからバロックトランペットのソリストとして活動するようになった。
Michael Haydn - Trumpet Concerto No.2 in C-major
CD
Digital Booklet: Baroque Trumpet (The Art Of The), Vol. 2
Alison Balsom アリソン・バルサム
言わずと知れたモダンのスーパーソリスト。
彼女は積極的にバロックトランペットを演奏していてCDも出しているんですがこれが本当に素晴らしいです。
特にこのカウンターテナーとのCDは最高です。
Alison Balsom | Sound The Trumpet | Eternal Source of Light Divine
このCDです!
Reinhold Friedrich ラインホルト・フリードリヒ
CD↑
フリードリヒもモダンの超有名人ですが、彼もバロックトランペットを演奏してCDも出しています。
彼の素晴らしい音楽性はバロックトランペットでもさらに発揮されていてとても好きです。Fingerなどのソナタが収録されています。
古楽のよさ
古楽ってものすごくマニアックな世界に感じるかもしれませんが、演奏はとても自由で聴いていても演奏していても楽しいです。
作曲した人がそのまま演奏していたころの音楽は、楽譜に書いてあることがとても少なく(強弱やアーティキュレーションもほぼ書いていない)その分音楽家に任されています。
作曲家から音楽かへの尊敬も感じますし、”再現芸術”じゃないんだと思えます。
即興も多いし、通奏低音だけが書いてあって後は奏者に任せるということもあります。
シンプルなだけに自由
って感じです。
日本でも少しずつ良さが知られていけばいいなと思います。そのために色んな記事を書きます!!
全てを当時の楽器で演奏する古楽器オーケストラ Orchestre Révolutionnaire et Romantique - あうすどいちゅらんと
この演奏聴いてみてください。最高
Beethoven: Symphony no. 3 in E-flat major ("Eroica"), Gardiner, ORR
トランペットのこと
毎年夏に逗子で金管アンサンブルの演奏会をしています!ぜひ読んでください。
おすすめのトランペット奏者を紹介していく クラシック - あうすどいちゅらんと
【ビックバンド】ハイトーンキュインキュインのおすすめのトランペット奏者 - あうすどいちゅらんと