この画像は管楽器奏者の”管”の消費量を表した表で、大学のトランペット部屋に飾ってあります。
これを見て分かる通り、他の金管楽器とくらべてトランペットの管の消費量は尋常ではありません笑
ホルンは基本的に1本でワグナーチューバくらいのもの。
トロンボーンはテナーとアルトかバスだけです。
チューバはB,C,F,Es,チンバッソなどと種類が多いですが、トランペットほどではありません。
トランペットにはたくさんの種類がある
トランペットは他と比べると安い楽器ではありますが、なにしろ種類がとてもたくさんあるのでそれがすごく大変です…。
トランペットにはまず様々な長さの楽器が存在し、一つ一つが必要です。
一番基本となるのがB管で、こんな感じ。
B管はクラシックはもちろん、ジャズや吹奏楽やポップスでも使われる一番一般的なトランペット。
C管トランペット
そしてオーケストラやソロなどで使われる少し短いC管。
見た目はほとんど同じですが少し短いですよね。(右がC管)
感が短くなるほどコントロールは難しくなりますが音は華やかになっていきます。
ドイツだと”フランス管”と言ったりします
Es/D管トランペット
ハイドンの協奏曲で使われたりアンサンブルなどで使われます。
C管よりもっと短いのでより華やかに、高音域が楽になります。
(D管、F,G管などもありますが省きます)
華やかな音色
F/G管トランペット
僕は実物を見たことはありませんが、バロック音楽などで使われることがあります。in Cの曲などでピッコロを使うほど高くはないがC管で吹くには高いという曲に使われることがあります。
ピッコロトランペット
これは基本的にA管かB管で、長さがB管の半分。だからといってオクターブ高い音が出るというわけではなく、高い音が吹きやすくなったり正確になったりします。
バロック音楽を演奏する時によく使われます。
オーケストラや室内楽でも使われます。
わかりにくい写真w
こんな感じのかわいい楽器です。モーリス・アンドレはめちゃくちゃ簡単そうに吹いていますがこの楽器を使うと高い音が出るわけではないので普通はこうはいきません。笑
フリューゲルホルン
これはありがたいことに基本的にはB管です。(C管も一応あります)
ホルンという名前がついていますがトランペット奏者が演奏します。音域はトランペットと同じですが、柔らかい音色がします。
ジャズでもよく使われます。
コルネット
これにもなんとB,C,Esという様々な長さの楽器があります。(写真はB管)
コルネットは見た目や音域はトランペットとほとんど同じですが、楽器の起源も大きく違っています。
音色はもっと柔らかく、テクニカルな動きもやりやすい小回りのきく楽器です。
金管バンドやオーケストラ、ソロなど様々なシーンで使われます。
これはEsコルネット。
ロングコルネットとショートコルネット
なんとコルネットの中でも種類が分かれています。
フランス式のベル付け根がくるっと巻いているのがショート、トランペットとの吹奏感の差を減らすためにアメリカで作られたロングコルネットがあります
ポストホルン
これはホルンの短いやつなので音域的にトランペット奏者が演奏します。マーラーの交響曲第3番などで使われます。
コルノ・ダ・カッチャ
これはネルーダの協奏曲を演奏する時に使われたりします。(めったに持っている人はいませんが)
右手ホルン的な感じ。
バロックの作品のホルンはトランペットの高音域が使われることもあるので、この楽器で演奏することもあります。長さはトランペットと同じ。
ナチュラルトランペット
バルブシステムが浸透するまでずっと使われていた楽器もあり、最近ではモダンのオーケストラでもこれを使うことも増えてきています(孔あり)。モダンの楽器の倍の長さがあるのであたたかみのある随分違った響きになります。
孔がないものをナチュラル、あるものをバロックといって区別します。
ドイツで主に使われているロータリートランペット
日本やアメリカ、ドイツ語圏以外のヨーロッパでは基本的には今紹介したピストンのトランペットが使われていますが
ドイツやオーストリアなどのドイツ語圏ではトランペットと言えば基本的にはロータリーバルブのトランペットが演奏されています。
ピストンとロータリーでは音色も大きく違います。ロータリーの方が細かい動きは困難ですが重厚な響きがするので他の楽器の音とよく混ざります。
日本でロータリーを吹くのはドイツの作曲家のオーケストラ曲を演奏する時ですが、ドイツではオーケストラで吹くときはスター・ウォーズだってロータリーです。
”オーケストラで吹くときは基本的にロータリートランペット”というのが普通で、ドイツでは’Deutsche Trompete”(ドイツトランペット)と呼ばれています。
ドイツのオーケストラのオーディションでは
ハイドンのトランペット協奏曲を”Deustche B Trompete”(ロータリーのB管)で演奏するよう指定されています。
ピストンはAmerikanische Trompete(アメリカントランペット)みんな略してアミーと言っています。
たまにイタリアオペラではピストンを吹くこともあるそうですが稀です。
これがアメリカのピストンで
これがドイツのロータリー。
奏者が違うので簡単に比べることはできませんが、どちらも超一流なわけなので好みですね!
僕はドイツのオーケストラの音が好きです。
そしてロータリートランペットでもすべての長さが…
先程紹介した異なる長さ(調)の楽器、B管・C管・Es管・ピッコロトランペットが、ドイツ管でも全て存在するのです…!!
なんてこった…
日本ではドイツ管はC管一本あればいいわけですが…。
右がB管で左がC管です。
Es管はソロならみんなピストンのものを使いますがD管をオーケストラなどで使う場合ばもちろんロータリーです。(以前ベルリフィルでタマシュヴァレンツァイがベートーヴェンの交響曲第7番でD管を使っていました。)
D管
ピッコロ
ロータリーフリューゲルホルン
Flügelhornというのはドイツ語です。
Blasmusikというドイツの伝統的な大衆音楽でよく使われます。
これはもちろんロータリー…
ピストンのフリューゲルホルンは”ジャズフリューゲルホルン”とか言われます。笑
トランペットはたくさんの種類がある
トランペットのことを全く知らない方でも、たくさん種類があって大変だということをよくお分かりいただけたと思います。
アマチュアで吹奏楽だけやっていればB管のピストンが1本あればOKですが、プロになるとものすごいたくさんの種類が必要になるわけですね…
あとネタでしかない感じですがスライドトランペットというものもあります。w
おそろしいトランペット奏者の”管”の消費量…