楽器の選定にRicco Kühnの工房へ
先日書いたとおりにトランペットにはたくさんの種類があり、ドイツではロータリートランペットが必須でオーディションではもちろんB管もC管もロータリーで演奏しなければなりません。
そして今回ドイツのザクセン州の、ドレスデンとケムニッツの中間あたりのチェコ国境の小さな町Oederan(エーダーアン)にある工房まで行ってきました。
ザクセンはここらへんです。ヴュルツブルクはフランクフルトから少し東に行ったところにあります。
ヴュルツブルクからだと電車を何度も乗り継いで、たいして遠くないのに5時間半もかかりました…w やばすぎます。笑
エーダーアンはこんな感じ。暗い…
旧東ドイツの南ドイツとはまるで違う雰囲気
ザクセン州に入った瞬間から車窓から見える景色がガラリと変わり、一気に暗い感じになりました。建物はどこか汚い感じがして田舎なのになぜか落書きだらけという…
以前ベルリンに住んでいた頃も強く感じていましたが、旧東と旧西では未だに随分雰囲気が違うんだなあと思いました。
南はこんな感じ
ヴュルツブルクってやっぱり南ドイツなんだなと改めて思いました。
リコキューンとは
ドレスデン国立歌劇場のトランペットセクションを中心に世界的に有名なメーカーで、ここ数年ドイツで人気急上昇中です。
ドレスデン国立歌劇場は伝統的に使い続けていたヘッケルというメーカーの後継に選ばれたその伝統を継ぐメーカー。
マイスターによると、2015年までは年間に80~90本ほど制作していたそうなのですが、2016年は年間180本ほど制作して販売したそうです。2日に1本という…
そのため去年は注文から半年ほど待たなければいけなかったそうなのですが、今年からは2~3ヶ月で済むそうです。
そして楽器を2本ずつにしぼり、4月に4本送ってくれることになりました。そこで2周間ほどさらに試してから購入です。
お金を払う前に4本も送ってもらうという信頼でしか成り立たない日本では考えられないことです!
日本に持ち逃げされたらどうするんだろうという…
リコキューンの工房
そしてマイスターが駅までBMWで迎えに来てくれたのですぐに工房へ。
外観は本当に家って感じです。
ちなみに2017年の9月からエーダーアンの駅前に工房を移転するそうです。
試奏室的なところに案内してもらって楽器を吹きました。
こんな感じでB管とC管は色んなモデルと組み合わせで6本ずつ用意してもらえました。
T053 Professional
モデルはT053 Professional という”Deutscher Musikinstrumentenpreis” (ドイツ楽器賞?)という賞を2010年と2015年に受賞した、一番メジャーなモデル。
これには大きいベルのタイプと小さなベルのタイプのものがありベルが小さいものはコントロールが効きやすく室内楽向けな感じで、ベルが大きいものはより重厚な音がするオーケストラ向けとの説明でした。
大きいベルのものだと確かに少し重さもあって音も重厚ですが、アタックはかなり明瞭で華やかな音がします。
小さいベルだとやはり音が軽すぎる感じがしました。
B管はC(B)クラッペンが、C管はCとAのクラッペンが標準装備です。
T063 Exclisive
これは一番最新型のモデルで、今まではzirnbauer というメーカーのロータリーバルブを使っていましたが(旧タイプのシャガールやドーヴィッツも)このモデルからは自社製のロータリーバルブが搭載されています。
ロータリー自体も少し大きく、ロータリー同士のつなぎ目の管の部分が少し丸くなっています。
C管にもB管にもこのモデルはでています。
Professionalに比べると軽い感じがして、ベルも少し小さめですが息は流れやすく、小さいベルのProfessionalと大きいベルのProfessionalの中間的な感じでした。
発売からまだ日は経っていませんが一番の売れ筋だそうです。
リコキューン全体的な特徴
とにかく吹きやすく、他のメーカーとは違い
マウスパイプのシャンクがバックなどのスタンダードのものと同じため、そのままのマウスピースで吹けます。
ということでピストンからの持ち替えにも全然ストレスはありません。
音程も良くてアタックもとてもクリアです。
音はシャガールやレヒナーなどのオーストリア系の楽器とは違いもっとブリラントな華やかな感じ。
でもピストンの音とは違った重厚さを持つといった感じ。
参考としてドレスデン国立歌劇場を聴いてみてください。
アルペン交響曲
ブルックナー交響曲第4番