ブリヤートの真冬
ブリヤートの12月は-40℃まで下がったりととても寒く、
朝は9時まで暗くて16時には真っ暗になったりと過酷な環境でした。
でも相変わらずすごく晴れていて天気が良かったので日照時間の割には憂鬱な気持ちにはなりません。
ヨーロッパの12月はずーっと曇っているので本当につらいです
1965年12月のドイツの日照時間は0時間(ガチ)冬は全然晴れないドイツ - しべりあげきじょう
12月は光の色がなんだか常にセピア色に見えるような感じで、毎日がノスタルジックな雰囲気。
でも1月に入り徐々に光が明るい色味になってきたように感じます。
こでは1月初旬の写真。太陽のぎらつき方がすごいですが-30℃くらい
風がない日はダイヤモンドダストも見えてきれいです。
こんな感じ
夕焼けもまさに「マジックアワー」と言いたくなるような幻想的グラデーションになっていて
パステル画のようです。
気温はずっと低いままですが空の色は春に向かって変化しているのを感じます。
氷の板を剥がす
気温が下がったこともあり雪が降ることもなくなったので、ふわふわだった雪も圧縮され灰色になってきました。
歩道の雪は踏まれて固くなっていましたが、雪が降らなくなってからは徐々に剥がされるようになりました。
除雪という感じではなく「氷の板を割って剥がす」という感じです。
剥がされた雪は路肩に積み上げられていますが、まるで瓦礫のよう。
この残骸をみると圧縮された雪が何層も積み重なってパイのようになっていることがわかります。
そして一番恐ろしいのは
歩道の氷はすべてスコップで割って剥がしているということです
とてつもない重労働をやってくれている方々に感謝です
道路は除雪車のようなもので氷をとっているものの、
結局その残骸を人がシャベルでトラックに積んでいたので本当に大変な仕事
ウランウデに抑留されていた方が体験記で
「同胞が死んでも大地が凍りついて墓を掘ることもできない」
と語っていたのをふと思い出します。
花が30秒でフローズンフラワーに
それほどの寒さです。
家の前の花屋でバラを1輪買って店をでたら30秒でフローズンフラワーになる世界
まつげも鼻毛も凍ります
でも風がないので防寒具をちゃんとすれば問題なく生きていけます。10分以上歩くと結構やばいので散歩はできませんが笑
昨日は突然ー9℃まで気温があがり、春がきたと歓喜しましたが数日後は-35℃です。
1月のブリヤート劇場の公演
1月は最初の1週間が休みで、休み明け突然くるみ割り人形が2日で4公演。
12:00と17:00はダンサーも音楽家もキツいです。
くるみ割り人形にはスペインの踊りという曲にトランペットのソロがあったり、他にも難しい箇所や大音量を求められるところがあるので大変です。
でもお客さんは大喜びで2回やっても両方満席。素晴らしいです。
1月はとても公演が多かったのですが、オペラは僕でバレエは同僚というようにわかられたので比較的楽でした。
妻は全公演演奏しましたが…
兄の復帰
この劇場でバレエダンサーとして働く兄ですが、怪我で10月から帰国療養していました。
年末に戻ってきて一緒に正月を過ごし、
中旬にあった「麗しのアンガラ」という演目で復帰しました。
僕は非番だったのでみることができてよかったです。
「幸せの青い鳥」という子どもバレエでは主役をやり、それも非番にしてもらってみることができました。
2月の研修の時も9月から働き始めてからも兄の踊りをここで見ることはできなかったので、とても感慨深かったです。
ロシアオペラ
今月は「ソロチンスクの定期市」というムソルグスキーのオペラで初めて1stをやりました。
基本的にヒマですがソロがあったり、一ヶ所とても難しい部分があったので何日も集中的に練習
予測できない音で跳躍するのはトランペットにとってはかなり厄介なのですが
難しいエチュードをやっていた学生の頃を思い出し練習するのはなんだか楽しかったです
オーケストラでは基本的にシンプルなことの確実さや安定感が求められているので、
技巧的なことを集中して練習するのは新鮮に感じました
それからチャイコフスキーのオペラ「オネーギン」も初めて。
このオペラは1曲吹いたら40分出番なしなので
トロンボーンの人たちと一旦楽屋に退散して出番の前に席に戻るというオペラ座らしいことを経験しました笑
白鳥の湖やコッペリア、真夏の夜の夢、トスカ、フィガロの結婚
など1度やった作品が多かったので以前より余裕を感じられました
ジゼルのゲスト公演
そしてジゼルではモスクワのクレムリンバレエ団のプリマ、
エカテリナーナ・ペルヴシナがゲスト主演。
本当に素晴らしい演技力と洗練された技術でとても感動しました。アルブレヒト役のミハイルさんのバリエーションも圧巻。
最前列で観たので表情の一つ一つもよく観られて豪華でした。
お客さんも大喜び。
子どもの頃に親に連れられて何度か観た時はジゼルがショックで死ぬ意味も全くわからないし、ヒラリオンは殺されて王子だけ助かるのひどいと思ったし
とにかく全てが理解不能でしたが大人になってみると全然違いますね
ジゼルが死んだ瞬間はちょっと泣きそうになりました笑
ジゼルについてはこちら
これは先日の公演ではありませんが同じプリンシパルが踊った時の映像です。
黄金のマスク
2月はモスクワで開催される「黄金のマスク」という舞踏・演劇・歌劇のロシア最大のイベントに首席奏者として参加します。
初のモスクワ、初の遠征とても楽しみです。
上演するのは「タリスマン 」という演目。
トランペットは1パートで、ソロがたくさんある重要なパートなのでとても光栄です。
バレエ《タリスマン》あらすじと解説~ロシアに行ったイタリア人作曲家リッカルド・ドリゴ~ - 音楽からみるバレエ