山下光鶴のプロジェクト
ベルリンに住んでいた20歳の頃はまだ周りには同年代の人はほとんどいませんでした。そんな中でベルリンフィルを聴きに行ったときにたまたま高校卒業後すぐにベルリン芸術大学の作曲科に入り勉強していた山下光鶴(てるかく)くんと知り合い、彼は当時19歳で年が近く、最寄も同じ駅だったのでよくあっていました。
彼は19歳とは思えないほどすごく落ち着いていて、色んなことを知っているのですごくおもしろく今までに出会ったことのないタイプの人でした。
ヴュルツブルクにきてからも、たまにベルリンに行くことがあればヴュルツのフランケンワインをお土産に家に泊めてもらってたりとかして。
今回は彼が主宰する演奏会があるということで撮影をしてきました。
てるかくのホームページ↓
父は山下和仁さん
ちなみに彼のお父さんはギター界では知らない人のいない山下和仁さんです。
この展覧会の絵の演奏は本当にすごいです。もうギターを喰ってるかのようなすさまじい勢い…。え、クラシックギターってこんな音すんの?と思うでしょう。
Kazuhito Yamashita in Toronto (1984) Full Concert: Part 3 "Pictures at an Exhibition"
Renaissance 21-introductionという彫刻と音楽のイベント
今回は、ベルリンの若いアーティストが作った彫刻作品を展示し、
その中で「ギターと歌とダンス」という編成のために山下光鶴が日本人の詩をもとにした作品を上演しました。
そしてヴァイオリンとギターが即興でデュオで演奏し、さらに画家が即興で絵を描く
というものもありました。
彫像はこんな感じ。撮るの難しいですね~
日本語のもつ抑揚を守りながらメロディーをつくる
日本語の歌詞にドイツ語の語りがついていて、メロディーも日本的な、すごく独特なオーラを放つ作品。
日本語の音節に合わせてメロディーの高低を合わせたと聴いて本当に難しいなと思いました。長唄などは日本語の抑揚に合わせて曲ができていますが、現代の多くの歌謡曲はその法則を無視したメロディーがついているのだそうです。
こういった雰囲気を感じていると、日本語のもつ、リズムを持たない独特な”間”というのはヨーロッパの人にとってはとても新鮮に映るのだろうなとと思います。
その独特の雰囲気を西洋の楽器を使って表現して、ヨーロッパで演奏するということには価値があるなと。そして日本人としてもっと日本の音楽文化を学ばなきゃいけないなと思いました。
密息で身体が変わる
日本のことをいろいろと考えていた時にてるかくから貸してもらった本がとても興味深いものでした。
尺八奏者の中村明一さん著の「密息で身体が変わる」という本。
中村さんはとてもおもしろい人で声楽やフルートの呼吸法も学んだ後、なんと尺八でバークリー音大のジャズ科に入学したという経歴の持ち主。
半生もとてもおもしろかったですが、中村さんが最終的にいきついたという密息という呼吸法もとても興味深いものでした。
日本人の身体に合った、最も大量の息を効率よく使う方法についてかいてあります。
呼吸タイプのことを思い出しました。
興味のある方は読んでみてください。
そしてこれがヴァイオリンとギターと絵の即興
山下光鶴の音楽と映像
僕は風景のショートムービーを作るのが好きなのでたまに作っているのですが、その中でもてるかくの曲とすごく合う映像が取れたので曲と合わせた作品を作りました。
Buryatia Datsan music by Terukaku Yamashita真冬のブリヤート共和国のダツァン
これは”Lotus"という作品に、シベリアのブリヤート共和国にある寺院の風景を合わせたものです。
Morito Shrine music by Terukaku Yamashita材木座海岸〜森戸神社
これは”A Short Song"という作品に、僕の故郷である鎌倉・葉山の映像を合わせたものです。
僕の作りたい映像と光鶴の曲のイメージがよく合っているのだと思います。
彼と兄と妻と一緒に「西洋芸術をする日本人の葛藤」をテーマにしたプロジェクトも進めています。