しべりあげきじょう

ロシア国立ブリヤート歌劇場首席トランペット奏者  齋藤友亨のブログ (旧あうすどいちゅらんと)

しべりあげきじょう

バンベルク交響楽団のトランペット奏者2人による講習会 ~オーケストラスタディ~

バンベルク交響楽団のMarkus MesterとThomas Forstner

12月12-13日にトランペットクラスで講習会がありました。

大学による講習会で、参加はもちろん無料です。今回はBamberger Symphonikerの首席奏者と副首席奏者が来て一回ずつレッスンをうけました。

 

Markus Mesterは首席なので動画もたくさん出てきます

www.youtube.com

これのソロを吹いている人です。

バンベルク交響楽団は日本にいるか頃から好きでCDはよく聴いていたのでうれしかったです。

 

みんなで一緒にウォーミングアップをしたりしてしました。

 

 

Markus Mesterプロフィール

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出典Festliche Silvestergala für Trompete und Orgel - Veranstaltungen - Das Fränkische Weinland

 ケルン出身。ケルン音楽大学、デュッセルドルフ音楽大学を卒業し、1988年-1992年にEuropean Community Youth Orchestraの首席奏者としてクラウディオ・アバドの元で演奏。1992年からバンベルク交響楽団首席奏者、1996年からバイロイト祝祭管弦楽団首席奏者に就任。

 

Markus Mesterのレッスンの内容

オーケストラスタディをみてもらいました。

 

www.tomotrp.com

 

専門的ですが、見てもらった曲ごとの内容を書いてみます。

 

バルトーク:Concerto for Orchester

 

www.youtube.com

 3:00くらいから始まる2ndのソロ。

 

・最初の3音の上向きのアクセントは音価分エネルギーを減衰させない。抜かない。

・8分音符が連続するところのスタッカートは強調して短く、一音ずつクレッシェンドしていく、ここもエネルギーを減衰させない。

・4分+テヌートと書いてあるところはアクセントが書かれているところとは差をつけ、少し抜く。

・何もアクセントやスタッカートがついていない音符が短くなりすぎたり長くなりすぎないように注意する。

・この短いフレーズの中でも音のキャラクターに差をつける

 

ビゼー:カルメンの前奏曲

www.youtube.com

 カルメンの前奏曲はトランペットでトロンボーンが一番心地よいくらいの低音域を演奏しなければなりません。

現代のB♭トランペットだと最低音の半音下まで出さなければいけないといういやーなやつです。

 

・このメロディーはカルメンの運命をあらわすテーマ(カルメンは殺される)だから常に迫りくるようなダークな音で演奏すること。

・3度の動機をドラマチックに。

・同じテーマで音域が低くなっていくほど音量を増していくこと。

・最低音のところでトリガーを気にしすぎて乱れないこと。

・最低音の後の休符も本来はフレーズが続いているので大きなブレスをしないこと。

・音域が低くなる分そこまで音量を落とそうとしなくてもよい。

・最後のフレーズのpは落とせるだけ落とし、ffに向かってドラマチックに演出すること。

 

・この曲を演奏するとき、低音域のことばかりに頭がいってしまいだが、ドラマチックで情熱的な音楽性をアピールすること。

 

奏法に関して

彼はとても言葉での説明が上手なうえとても熱心にレッスンしてくれました。

とにかく自然体で呼吸するための運動なども取り入れています。

 

お腹を自由にする、鼻で呼吸する(口は本来の呼吸器ではないから)などのアイデアが主です。

お腹の使い方に関しては本当に様々な考え方がありますが、彼の場合は

 

・肺に息が入ると自動的にお腹はでるが、お腹に息は入らないということをはっきりと自覚することが大切。

・息を吐いているとき腹は自然と弛緩し吸うときにまた膨らむが、お腹の張りを保とうとするのは余計な力みなのでしない。

 

 ・音はどんな音域でも後ろに響かせるということを意識する。テノール歌手のように。

顎を引く。

・音が前に行かないように意識する。

・すべての曲を様々な音量やキャラクターで練習すること。

 

 

 

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Thomas Forstnerのプロフィール

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http://wp.bfs-musik.de/schule/dozenten/forstner-thomas/

トロッシンゲン音楽大学でHorst-Dieter Bolzに師事。

1992年にバンベルク交響楽団に入団、1994年からバイロイト祝祭管弦楽団のトランペット奏者を務める。

 

Thomas Forstnerのレッスン

彼には基本的に奏法のことを中心に質問しました。

呼吸に関しては

 

・2拍で吐き、2拍で吸うという練習。まずは息を吐く。

・腹は張っているが固くはせずに支える。みぞおちのところはリラックスさせること。

・口の中を広くしすぎない。ティ くらいの発音

・息の流れを確保するためにタンギングの時の下の動きを最小にできるようにする。

・アーバンの49番を、小さい音ででも息を流れさせられるように練習すること。

・アンブシュアはとにかく”筋肉が動かなければどんな見た目でもいい”と考えて見た目の完成形にとらわれない。

・音の出だしの時に、音が最初から動いていくように。

・Flowを意識する。Pushしてはいけない。

 

オーケストラスタディ・レオノーレ

レオノーレのBdur のシグナルをみてもらいました。

・最初の2分音符は拍よりも長く保つ。少しフェルマータのように。

・8分音符を短くしすぎない。

・基本的に練習するときはmfで練習し、音やアタックをよく観察すること。

 

 

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レッスン後

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この日は2人のレッスンを連続で受けた後に1時間あけて大学の先生のレッスンも1時間で

なんと合計5時間www

 

豪華すぎました。

でも疲労困憊で目が全く笑っていません。笑

 

その後はみんなで大学の前でビールを飲んでいたのですが雨が降ってきたので大学のエントランスの前で飲んでいたら通る人みんなにすごい目で見られましたw

さすがドイツの金管です。笑

 

ビール5本は飲まされましたが今日はなんとトランペット科のクリスマスパーティーという名の地獄の飲み会です…