ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
1840年5月7日 - 1893年11月6日
今日はチャイコフスキーの命日。クラシックに興味のない人でもみんなが聴いたことのある美しくて親しみやすいメロディーを量産した偉大な作曲家を紹介します。
官僚をやめて音楽家を志したチャイコフスキー
音楽家と言えばモーツァルトなどのように、幼いころから神童として才能を発揮していくのが一般的なイメージですがチャイコフスキーは変わった経歴を持っています。
幼いころから天才ぶりを発揮し、6歳の頃には数か国語を理解したりピアノもどんどん上達したり。
ですがまだその頃は音楽家は生活が中々成り立たない時代。そこでめちゃ頭の良い彼は超エリートの行く寄宿生の法律学校に行きました。
そこも優秀な成績で卒業し、法務省に就職します。
チャイコフスキーはなんと一回官僚になっているんです。
しかし法律になど興味はないし芸術への思いが断ち切れていなかったそんな時に、ロシアのサンクトペテルブルクにロシア初の音楽院が創設されます。
なんと彼はそこで
官僚の職を捨て、音大にはいります
この決断は半端じゃないです。
芸術のために超エリートコースだった道をすてているんです。
まあそれだけ優秀な人ならどんなこともうまくいくのかもしれませんね…
そして音楽院でもどんどん優秀な成績を収め、一躍注目の音楽家になりました。
その後もメック夫人という鉄道富豪にパトロンになってもらい、作曲活動を続けていきました。
チャイコフスキーといえばバレエ
チャイコフスキーといえば3大ロマンチックバレエを作曲したことで有名です。
僕は小学生の頃に少しクラシックバレエをやっていたのでバレエにはとても親しみがあります。ちなみに兄はバレエを続けてロシアに留学して今はロシアの国立の歌劇場で踊っています。
三大バレエといえば白鳥の湖、眠れる森の美女、くるみ割り人形です。
白鳥の湖
ロシアのバレエは本当に繊細で好きです。
誰もが聴いたことのあるメインテーマ
Swan Lake Main Theme - YouTube
トランペットの大事なソロもあったり。
ワルツ
Waltz from "Swan Lake" - Bolshoi Theatre, 16.01.2013 - YouTube
王子とオデットのグランパドドゥ
Swan Lake Act II Pas de Deux - YouTube
とにかくロマンチック。
なんというか言ってしまえばかなりくさいメロディーなのかもしれませんが全然いやらしい感じにならないところが不思議です。
くるみ割り人形
まさにクリスマス!!といったわくわくする作品で、かわいらしい曲がたくさんあります。
ドイツでは年末の定番の演目としてクリスマスシーズンにしょっちゅう上演されます。
花のワルツ聴いたことがあると思います。
The Nutcracker: Mariinsky 2012 - Waltz of the Flowers - Ovation - YouTube
グランパドドゥ
Nutcracker Grand Pas de Deux - Anna Tsygankova & Matthew Golding - YouTube
マーチ
March from The Nutcracker - YouTube
中国の踊り
Mariisnky - The Nutcracker - Tea (Chinese Dance) - Ovation - YouTube
金平糖の踊り
Pyotr Ilyich Tchaikovsky / Nina Kaptsova - Dance of the Sugar Plum Fairy - YouTube
ソフトバンクのCMの、葦笛の踊り
Tchaikovsky - The Nutcracker - Dance of the reed pipes - YouTube
などなどかわいい系の曲たち
眠れる森の美女
数年前にマレフィセントが映画化しましたね
The Sleeping Beauty - Bluebird and Princess Florine pas de deux (The Royal Ballet) - YouTube
おとぎ話なので、ロマンチックでもありかわいさもあり3つの中では一番好きですかね!
ちなみ眠れる森の美女は、特に大きな見せ場はないのにトランペット奏者にとって最も過酷な曲言われています。とにかくきつい…
グランパドドゥ
ROBERTO BOLLE and Diana Vishneva ~ Sleeping Beauty Act 111 Pas de Deux - YouTube
ワルツもとてもロマンチック
Tchaikovsky, Waltz from Sleeping Beauty - YouTube
青い鳥
The Sleeping Beauty - Bluebird and Princess Florine pas de deux (The Royal Ballet) - YouTube
コーダ
Sleeping Beauty - Coda - YouTube
リラの精
Sleeping Beauty Lilac Fairy Variation Paris Opera Ballet - YouTube
こんな感じ。バレエはずっと家でDVDかかってたりとか発表会みたりで主要なレパートリーは全部わかるし、何々のヴァリエーションとか聞けばどんなのかわかるという。笑
音楽やっているとバレエもやっていたという女の子はいるのでバレエの話するとちょっと驚かれます。まあそんな大好きってわけでもなかったんですが知識は勝手に増えていくもので…
でもなんだかんだ自分が音楽始めるきっかけになっている気もするので今ではバレエを観るのはとてもすきです。
チャイコフスキーの交響曲
チャイコフスキーは交響曲も素晴らしくて、特に4.5.6番が有名です。
4番
この曲は僕が中学生の頃に初めてオーケストラで吹いた曲です。
すごい曲。
バレエのただただ優雅な感じとは違い、チャイコフスキーの心の闇が思い切り表現されています。
明るくなってもどこか悲壮感の漂う頭から離れない曲。
5番
Tchaikovsky: Symphony No. 5 / Barenboim · Berliner Philharmoniker
一番人気なのがおそらく5番。チャイ5とか言われます。
すごく繊細で抒情的なメロディー。ホルンソロが最高です。
6番「悲愴」
4.5番も十分悲愴感たっぷりなんですが改めて悲愴とついています。
ますます苦悩に満ちた曲なんですが、その分喜びに満ちた4楽章が本当に本当に美しいです。
そのほかにも名曲だらけ
弦楽セレナーデはきいたことがあるはず。
P. I. Tchaikovsky - Serenade for Strings in C major, Op. 48 (Fedoseyev) - YouTube
ピアノ協奏曲第一番
Tchaikovsky Piano Concerto No 1 FULL / Martha Argerich, piano - Charles Dutoit, conductor - YouTube
その他にも名曲がたくさんです。
チャイコフスキー同性愛と偽装結婚
すごいおもしろいエントリーを見つけました
チャイコフスキーのゲイ人生についてかなり詳しく書かれています。
チャイコフスキーはおそらく男子校同然だった法学校で同性愛に目覚めたと思われます。
そしてその後の彼にとって一番の悲劇は間違いなく偽装結婚でしょう…
彼はずっと男性としか付き合ったこともなく女性には全く興味がなかったそうなんですが、28歳のときにアントニーナ・イヴァーノヴァ・ミリューコヴァという女性に結婚を迫られます。
最初は断っていたそうなんですが、彼女の勢いに負けたのか、最終的に結婚します。
まあ結婚しといた方が世間体もいいだろう位なことも言っていたんだとか。
しかしこれがとてつもないメンヘラ女だったのです…
最初から「女性と体の関係を持つことはできない」と明言していたチャイコフスキーにたいし、アントニーナは執拗に迫ります。
しかしそこは、「いやいやおれは…」と断るチャイコフスキー。
結局アントニーナは自殺未遂までしてしまい、チャイコフスキーの精神を大きく動揺させました。
2か月くらいで破綻しましたが離婚は成立できず、生涯仕送りし続けるハメに…
どちらもかわいそうな話ですが同性愛者とわかっていて結婚したのだからなんだかなあ、、、というかんじ。
甥っ子と恋に落ちる
そんな心がずたずたになっていた頃、療養先のウクライナで彼は甥っ子と出会います。それから彼の日記はボブのことでいっぱいになったらしく…
884年5月1日
大好きなボブと、ピアノを連弾しちゃった♪もう、超シヤワセ。
ボブってば、なんであんなにカワイイんだろう。めちゃくちゃ本理想。
連弾してて 、ボブもけっこうイイ感じで微笑んでくれてた~~~~。
1884年5月22日
仕事してたり散歩してたりしているとき以外は(ってか、散歩も仕事のうちなんだけど)、もうボブに会いたくて会いたくて、たまんなくなっちゃうよ~~~~。ボブがいないと、もうダメ。絶対ダメ。寂しくて死んじゃう。どうしよう、こんなに好きになっちゃって。どうしよう、マジで。どうしたらいいの~~~~。自分が怖い~~~~。
1884年5月31日
あああああッ、ホントにもうッ 。
夕食後に、ボブと二人っきりになっちゃった。もう、メロメロってか、なんであんなにカワイイんだろ。バルコニーでブラブラしたり、ベンチに座って僕の曲について話したりしてるだけで、もう、たまんない!ちょびっとアンニュイなところも、ビンビンきちゃう!
1884年6月3日
どうしよう。今日はもうモスクワに帰らなきゃならないんだけど、どうしても帰りたくないの。ボブのせいだよ、なにもかも、ボブのせい!ボブのこと考えると、モスクワになんか帰ってる場合じゃねーよってカンジ!
ちなみに彼が44歳で甥は14歳。うげえええ。。。。。
チャイコフスキーの死因と当時の同性愛
一般的にはコレラという話になっていたんですが、皇帝から自殺させられたという説もかなり有力です。
■同性間の性行為を行った咎での、実質上の「死刑」?チャイコフスキーの死をめぐって、大変に有力となっているのは、このような説です。
【1】チャイコフスキーはステインボーグ・フェルモール侯爵の甥と肉体関係を持つ。
(当時、同性愛をめぐるこうしたスキャンダル関係者はシベリア流刑モノ)【2】憔悴した侯爵は、 チャイコフスキーが甥をたぶらかしたと皇帝に直訴。
【3】困った皇帝は、秘密法廷を開く。
【4】チャイコフスキーの味方をする者はなく、「砒素を飲んで自殺しろ」と判決がくだる。
【5】チャイコフスキー、自宅で砒素を飲み、自殺。
僕はこれが一番真実に近いんじゃないかなと思います。
それにしても当時のロシアでの同性愛がここまでタブーで処刑までされていたなんて悲しい話です…
日本の武将達もみんな男色を好んでいたと言われていますし、どれだけ性に奔放だったかという。笑
彼には常にこんな苦悩や差別がつきまとっていたからこその音楽なんだなと思います。
メロディーの美しさも交響曲の壮大な悲壮感も繊細さも、ゲイにしかできない音楽なのかも…
今日はそんなチャイコフスキーの命日です。
みなさんぜひ彼の曲を聴いてみてくださいね!
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