しべりあげきじょう

ロシア国立ブリヤート歌劇場首席トランペット奏者  齋藤友亨のブログ (旧あうすどいちゅらんと)

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【古楽】中世のドイツのラッパ吹きはオーボエもヴァイオリンも必修だった【Stadtpfeiffer 】

Stadtpfeiffer シュタットプファイファー

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今回はStadtpfeiffer(シュタットプファイファー)という、14-18世紀のドイツで、街に雇われて演奏していた音楽家についての講義なども含めた講習会でした。

シュタットプファイファーの主な仕事は要人の来訪知らせる音楽や時報のトランペット、火事の知らせなども含まれていました。

結婚式やお祭りなどのイベントではさらに追加のギャラがでたんだそうな。

そのような街に雇われている公務員的な職業だったんだそうです。

 

それは現在もドイツにたくさん州立のオーケストラがある理由の一つです。

このシュタットプファイファーという音楽組織が拡大してシュターツカペレになっていきました。(ゲバントハウスライプツィヒ、シュターツカペレ・ドレスデンなど)

 

ちなみにバッハもStadtpfeifferです。

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シュタットプファイファーは様々な楽器を演奏しなければならなかった

シュタットプファイファーは基本的に5種類以上の楽器を演奏できなければならず、オーディションの曲が今も残っています。

 

トランペット→オーボエ→歌→トロンボーン→ヴァイオリン

といった順番で、区切りなくすぐに持ち替えて演奏しなければならなかったそうです。

ちょっと音を出したりすることもなく連続です。

 

そしてトランペットやオーボエは歯が無くなると吹けなくなってしまうので

40代くらいになったら歯がないという理由から

”じゃあヴァイオリニストになります”という人もいたそうな。笑

 

ことに身体から音の出るトランペットのスペシャリストは重宝されたんだそうです。

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ドイツのトランペット曲がとても難しい理由

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クリスマスオラトリオやロ短調ミサにはHigh DやHigh Eといったとても高い音がとてもプレッシャーのかかるシーンで出てきます。

とっても難しいのです。

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それに比べるとフランスや他国のトランペットはそこまでとんでもなく高い音などは要求されていません。その理由として僕が思うのは(※私見です!!)

 

ドイツは音を外しても処刑はされなかったから。

 

なんじゃないかなーとおもっています。

例えばフランスでは王の御前でトランペットが音を外したら処刑されていたという話が残っているくらいなので、作曲家もトランペット奏者の絶滅を防ぐためにそこまでリスクのある音は書かなかったのではないかと。。。

 

しかしドイツでも

 

うまいトランペット奏者は王宮に仕え、そうでもない奏者は戦場に進軍ラッパ要員として送られた

とも言われています。

 

最高の練習へのモチベーションよね!HAHAHA!

 

とスーザン先生は言っていましたが本当に生死がかかっているわけですもんね、恐ろしい…。

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バロック時代はトランペットの黄金期

 ”昔のトランペット”というと

https://www.instagram.com/p/BjRfuZahUm_/

こんなやつで、ピストンもキーも何もついていない、ただの真鍮の管です。

ブブゼラや法螺貝と同じとても原始的な楽器。

唇の振動だけで音程を変えて、自然倍音しか出ないので、半音階を吹くことはできません。

 

え、こんなんでメロディー吹けるわけないっしょwww

 

と思うでしょうし、実際古典のオーケストラ作品では基本的にティンパニと同じ動きのシグナル的な位置づけで、メロディーを吹くことはありませんでした。

 

しかし、バロック時代トランペットは一番花形のメロディー楽器だったのです!!

 

先ほどのクリスマスオラトリオもそうですが

非常にメロディックで繊細、そして神々しいシーンで使われる楽器でした。

 

トランペット=神、王

という役割

このようなとても美しいメロディーや


Giuliano Sommerhalder - Telemann Concerto - Baroque trumpet

 

このように木管楽器とアンサンブルしてもよく混ざるという楽器だったのです。


T. G. Albinoni: Concerto for trumpet, 3 oboes, bassoon & b.c. in C major / Symphonia Perusina

こんなとんでもなく難しい曲もありました。


Bach: Brandenburg Concerto No. 2 in F major, BWV 1047 (Freiburger Barockorchester)

 

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 トランペットは色んな事ができる楽器

トランペットには本当にながーーーーい歴史があり

バルブ無しの楽器で室内楽でソロを吹いていたりオーケストラで重要なソロをふいていたこともあれば、シグナル的な役割も長くつとめ、バルブが開発されればメロディー楽器としての地位を取り戻し、オーケストラから、ジャズ、ポピュラー、吹奏楽と全ての花形になりました。

 

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トランペットと一口にいってもたくさんの種類があります。

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トランペットって最高な楽器じゃないですか。

吹奏楽なら花形、ブラスバンドならコンサートマスター、ビックバンドならリーダー、ジャズも花形、オーケストラも古典でもオーケストラを支配する存在、近代ならここぞというところで出てくる一番いいとこどりの立ち位置。

 

トランペット始めましょう!

 

 僕はヴュルツブルクでバロックトランペットを勉強しています。Hannes Rux教授についてはこちらから。

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