しべりあげきじょう

ロシア国立ブリヤート歌劇場首席トランペット奏者  齋藤友亨のブログ (旧あうすどいちゅらんと)

しべりあげきじょう

ベルリン国立歌劇場ライナー・アウアーバッハ先生のレッスン 基礎・オケスタ

レッスンの内容は専門的なので別記事にしました。

 

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Rainer Auerbach(ライナー・アウアーバッハ)

ザクセン州ツヴィッカウに生まれる。ライプツィヒ音楽歌劇大学を卒業。

卒業と同時にロベルト・シューマンケムニッツフィルハーモニー首席に就任。1979年にベルリン国立歌劇場首席奏者に就任。ロストック音楽歌劇大学講師。

Rainer Auerbach | Staatskapelle Berlin

 

僕が20歳でベルリンにいた時、本当に親身になってたくさんレッスンしてくれた恩師です。

 

今回は基礎とオーケストラスタディを見てもらいました。

呼吸について

「腹式呼吸」のようなものはなく、息を吸って肺が膨らむのに従ってお腹は自然と膨張するがそれはあくまでも結果で、その張りを保とうとすることは力みにつながる。
腹筋は息を出すのに使える筋肉であるが、吸うことに対して使うことはない。
張りを保とうとせずむしろお腹が自然と凹んでいくように腹筋を使うと息の流れが安定する。
息を吐くときは横隔膜(みぞおちや肋骨のまわり)からエネルギーが出ることを意識する。(「ハッ」など短く大声を出す時の動き)
 

シラブルについて

舌の動きを使って音域を操作するという奏法はとても広く知られているのですが、それがあまりうまくいかないこと、日本で津堅先生にお伺いしたところ「シラブルは使わないで口の中を広く保つ方がいい」とアドバイスをいただいたのでそれについてもライナーに聞いてみました。

発音は常に「オ」と広めにとる。特にアジア人はアゴも小さく口内が西洋人に比べて狭いので、舌で「イ」のような発音にすると口の中が狭くなりすぎて息が出ていかず、音が細くなる原因になる。
口の中が狭くなりすぎないようにするのと同時に奥歯を食いしばってしまわないように注意する。常に人差し指を挟めるくらいのスペースを開ける。
 
息を速くするために舌で口を狭くするという考えで、息の速さの前に舌のことを考えてしまうと舌が力む原因になる。
あくまでも速い息を出すことが目的なので、
目的→結果ということを忘れない。
(速い息を出した結果舌が少し上に上がるといったことは良いが、舌をあげて息を速く出そうと考えると違う結果になることが多い。)
 
舌は常にかなり下がった状態にあると意識し、口の中を広く保っていると逆に舌が自由に使えるスペースが増える。
 
アゴの筋肉を解すために1日2分ほど両奥歯にコルクを挟む。
丸めたティッシュを奥歯にはめながら吹いてみて食いしばっていないかチェックする。
ティッシュをとっても同じ開き具合で吹いてみて、その時の音の違いを確認する。
 

息がどの音域でも常に同じ方向に、マウスピースの穴にまっすぐ入るように。

楽器の角度に合わせる。

 

跳躍の練習をする時も常に同じところに息が当たるように吹く。

楽器の角度が音域によって変わるならその角度に合わせた方向に息を出す。


アンブシュアについて

「アンブシュアを支える」という考えをもつと振動体が固くなってしまうので危険。
常に両唇を下げ続けると意識する。
鼻の下を伸ばし続けるようなイメージ。
口角やアゴを支えるように意識すると直接力が入りすぎてしまうので音の柔軟性が失われるが、鼻の下の口輪筋を全体に下げようとすると振動体が固くならない上安定感も増す。
基本的にアンブシュアの状態は同じと考えるが高音にいったときは圧力に負けないように保つことを意識する。振動体が開いてしまわないように注意。

そうやって練習していくうちにアンブシュアは安定してくる。

 

オーケストラスタディ

マーラー 交響曲第5番

最初の3連符は次の音へのアウフタクトと考える。長い音を大事に。

3回目のEまでは全体的にクレッシェンドしていき、4回目でまたpに戻ってまたクレッシェンドし変化をつける。

複付点と16分は弾まず(抜かず)密度を保つ。

次の2拍3連は記譜通りではなくほぼ三連符くらい速く。(楽譜にその指示がある)

音が高くなってくるところでも音楽のダークさは保つ。ここの複付点も抜かず、密度を保つ。高音域の部分はオクターブ下で練習して音のキャラクターやイメージをそのままでオクターブ上げるように。同じ音の太さを目指す。

最後のD→Esはなるべくノーブレスでクレッシェンドする。

最後の3回の三連符は遅くならないで3連符を少し速く吹くくらいにする。

展覧会の絵

最初の4分音符は鐘を鳴らすように吹く。

BFの跳躍の時に狭くならない。裏声のように、でも太い息で。

Asの跳躍も同様に息のスピードだけ意識する。

 

ベルリンで習っていた時代は受験生だったのでオケスタを見てもらったことはなかったので今回ライナーが何度も吹いてくれたのを聴けてとても嬉しかったです。

60歳を超えても全く衰えることのない音質。そしてあんなにものすごい音量で何度でもマーラーが吹けるのは彼が本当に身体に無理のかからない吹き方をしているからなんだなと思いました。

 

受験期はとても不安定だったので怒られてばかりでしたが、

今回は「音がすごくよくなった」と褒めてもらえてよかったです。

2年前に言われてよく理解できなかったことが(ドイツ語的な意味ではなく)いまはもっとかっちりとはまることが多かったのも収穫でした。

またいつでもベルリンにこいよ!といってくれたのでレッスンを受けに行こと思います

 

二人ともすごく疲れた顔をしてる…w

 

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