しべりあげきじょう

ロシア国立ブリヤート歌劇場首席トランペット奏者  齋藤友亨のブログ (旧あうすどいちゅらんと)

しべりあげきじょう

渡独から2か月の頃気がついたらドイツの新聞に載っていた Jens Lindemannとの出会い

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3年も前の話

ドイツに来たばかりの頃

ベルリンでレッスンをしていただいていたベルリン国立歌劇場のライナー・アウアーバッハ先生の教えている大学でマスタークラスがあるということで誘っていただきました。

 

講師はJens Lindemann(イェンス・リンデマン)で

1996-2001でカナディアンブラスに所属していたドイツ系カナダ人で

クラシックはもちろん、ジャズからポピュラーも得意とし

プラハの春国際コンクールも優勝しているソリストです。

ヤマハプレイヤー。

 

スーパースター

マスタークラスで集まった生徒達との最初の顔合わせで

”I am a SUPER STAR! HAHAHA"

と言っていきなり超ハイトーンを何十秒も吹いて見せたり

とにかくものすごい感じ。笑

 

もう完全に芸能人みたいなノリでしたw

ほんとにこの人はスターなんだ…

ってみんなを一瞬で思わせる人でした。

 

www.youtube.com

 

とにかくめちゃくちゃいい音。

 

レッスンのスタイル

彼は生徒に対して全くネガティブなことは言わず

まず良いところ指摘し、もっとよくするためにはこんな練習の仕方がある

という感じでした。

 

もうノリが常にマックスなのでものすごいエネルギー

 

レッスン以外もむちゃくちゃ元気

1週間ほどの長い講習会で、

毎日飲み会でした。笑

飲み屋で話しているといきなり楽器を出してブランデンブルク吹きだしたりとか

アドリブ始めたりとかぶっ飛びまくってました。笑

 

テラスで飲んでいたときは夜中の1時でもお構いなしに外でマーラーのオーケストラスタディ(とにかくものすごい大音量)吹いたりw

 

僕の電話帳に数々の著名なトランペッターの電話番号が

 

そしてものすごく酔っぱらった彼は

 

今からアメリカのトランぺッター達に電話するからケータイ貸せ!!といって僕のiPhoneを奪って電話をかけだしました。笑

 

まずAllen Vizzitti

www.youtube.com

言わずと知れた世界一有名な超絶技巧トランぺッターのアレンヴィズィッティに電話

でも残念ながら出ませんでした。

 

続いてArturo Sandoval

www.youtube.com

ものすごいハイトーンプレイヤーの誰もが知っているトランペッター。

 

なんと、彼は電話に出ました!!ww

 

”今マスタークラスで、生徒の電話でかけてるんだぜガハハ!!!”

 

といったら

 

”You are crazy...."

 

とあきれられていました。笑

 

ということですぐにその番号を登録しておきましたww

 

欧米ではLine的なメッセンジャーアプリで

Whatsappというのがあるんですが

友達一覧の中にArturo Sandoval

とでてきてめっちゃテンション上がりましたw

 

そのせいなのか全くわかりませんが

なぜかサンドヴァルの方からツイッターフォローされました。笑

 

演奏会での司会

このマスタークラスでは途中で一人一人がソロを吹く演奏会があって

校内の小さなホールでみんな吹きました。

 

普通はやりませんが、彼は司会的な感じで一人一人が吹く前に舞台にきて生徒の紹介をしました。

 

みんなのいいところ、聴きどころを一つ行ってから舞台に招きいれる。

 

僕はハイドンの1楽章を吹いたのですが

「彼は非常にいい高音を持っているのでみなさん中間部に期待してくださいね!」

 

と紹介されました。笑

中間部には鬼門と言える音が高くて難しいところがあるので

 

「えーwwはーどるあげられてんじゃんww」

 

と思ったのですが、彼の言い方はプレッシャーをかける感じではなくて

むしろ自信を与えてくれて、リラックスして演奏できました。

 

舞台に出るときの振る舞いとか

ある意味自分で自信満々なキャラクターを作ってしまうのがいいんだなとわかりました。

 

自信満々ででて失敗したら恥ずかしいから自信なさげに

と考えがちですが

 

自信なさげに出てきたけどうまい

というサプライズって観客の不安を煽るだけで何にもいいことないんだなと。

 

だったらいっつも自信に満ち溢れた感じを演出して笑顔で出てくるのがいいですね

そうしたらお客さんも安心です。

 

ポジティブにいることの大切さを学べた

講習会に参加して、テクニックももちろんですが

どうやって音楽に取り組んでいけばいいかポジティブでいることの大切さをとても実感できました。

 

やっぱり自分を否定してこんつめてしまうのは何も生まないんだなと。

練習をさぼるということとは全然違いますが

ポジティブな姿勢で日々の練習を組み立てていくことが大事なんですね。

演奏会の時も然り。

 

ところで新聞のこと

本題をまだ話していませんでした。w

 

僕のレッスンの時間にたまたまロスットックの新聞記者の方が

この講習会のことを取材に来ていて、写真だけ撮ってくれました。

記事内は僕に関係する記述は特にありません。笑

 

後日、一緒に講習会に参加した日本人の方がこの記事を見つけて

わざわざ切り取って僕にくれました。

 

一生の記念です。本当にありがとうございます。

 

ということで僕の新聞デビューは渡独から2か月弱でした。